独立展情報

美術誌ギャラリー１２より
公募展の現在と未来…？

吉武研司コメント
「独立は小細工はしない王道でいく」というのは独立展の吉武研司運営委員。会場を東京都美術館から国立新美術館に移したが「広さの感じが伸びやかで、壁面がきれいで明るくなってだいぶイメージが違ってきました」という空間に対する発言はあったものの、国立新美術館に会場を変えても作品サイズの出品規定は東京都美術館の頃の200号から変えていない。会の規約に関しても従来通り何の変化もない。広くなった会場でゆったりと作品を見せている。
まわり団体展が作品サイズの制限をはずしたり、いろいろな企画をしている中で「王道で行く」という独立展は組織的な展開よりも画家ひとりが平等だという意識と作品の質が重要だと考える。そして会場が変わってもこれまでのやり方を踏襲している。
会員数に関しても一般出品も含めて減少することはなく徐々に増えてきて現在会員は約140人いるが、ベストは120人くらいだと言う。無闇に会員を増やさなくてはいけないという考えもない。多くのスター作家を輩出している強みを感じさせる。
「今はいろいろな意味で端境期であることは確かですね。だから僕らが新しい提案をしていかなくてはという気持ちはあります。ただ独立の熱気がなくなったら終わりですけど熱気はあります。質のあるエネルギーが集まっていますから。方向としては若手に人気があるようにしたいですね。若い人の中で公募展に対する見直しの芽が出てきて、これまでかなり現代美術が多かったのが、ここ2年くらいは絵を描く人が増えています。アートフェアやオークションに目を向けている人と、公募展に目を向ける人がいますが、絵を描くということをコツコツとやる人が公募展で実力をつけていくことことも見直されてくるのでしょうね」時代の変化に慌てて対応することなく、じっくりと公募展を続けている落ち着いた感じを受ける独立展は、広くなった会場でゆったりと作品そのものを見せることを続けている。